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    緑の煙突

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    episode1 カレーパンの男

    その男は写真を撮っていた私の背後から、突然声をかけてきた。
    「この道、ずっと行くと緑の煙突があんだよ。神奈川新聞に載ってたんだけどさ、結構珍しいらしよ。」
    「緑の煙突?銭湯ですか。」
    「おお、そうだよ。この先のコンビニの近くだからよ。すぐ分かるよ。」
    「行ってみるといいよ。新聞に載ってたからさ。」
    「俺も若い頃はやってたからよ。」
    その男はカレーパンを食べながら、シャッターを切る動作をして見せた。
     今ひとつ気が乗らなかったが、これから行く方向と同じだし、とりあえず行ってみることにした。

    episode2 それを切った男

    「あんたあの煙突を撮ってるのかい。」
    「はい、煙突の回りにきれいに蔦が生えていて面白いですねえ。」
    「そうかい。あの真ん中あたりに段差があるでしょ。あれは俺が切ったんだよ。」
    「あそこは、兄貴の家でさ。葉っぱが落ちて近所迷惑になるっていうんで、少し切ったんだよ。」
    「そうなんですか、写真的には面白いんですけどね。」
    少し微笑みながら初老の男は答えた。
    「でも近所迷惑だからさ。いつまで残ってるかなあ。」
    そう言い残して玄関先から家の中に戻っていった。


    episode3 中華街の女

    「お兄さん、煙突撮ってんの。」銭湯から出てきた女が言った。
    銭湯側から煙突を撮っていた私は、痴漢と間違われたかもしれないと思って、少し狼狽しながら答えた。
    「ええ、煙突の回りの蔦が面白くて。」
    「あの煙突、新聞だかテレビだかに出たらしいのよ。あんた、テレビ局か新聞社の人。」
    「いえ、そんな立派な者ではありません。」
    「そう、そんなカメラ持ってるからそうかと思ったわよ。あんた動物の写真は撮らないの。」
    「うーん、動物はあまり撮らないですね。」
    「いま中華街でアメリカの大統領の、なんだっけ。」
    「オバマ大統領ですか。」
    「そう!オバマ大統領の娘さんだったかな。が、飼ってる犬と同じ(種類の)犬がいるお店があるらしいのよ。」
    「割とめずらしい犬みたいで、結構流行ってるらしいのよ。今度カメラ持って撮りに行こうと思うんだけど、あんたも行ってくれば。 それじゃあ。」
    「・・・どうもお邪魔しました。」
    痴漢に間違われたわけでは無いようで、少し安心した。

    煙突が縁で、全く知らない3人と会話することになった。この煙突、こう見えてなかなかの社交家である。

    中華街への遠征は、まだ決めてはいない。


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    はせがわ | URL | 2009.05.27 07:45 | Edit
    昨日信濃町の慶応病院へ知人の見舞いに行った帰りに山方伸さんの写真見てきました。
    イメージしていたものよりはかなり写真的で、現研講師間で云われている従来よりの写真の基本は無視というところは感じられず、普段私が撮っているような写真も見受けられて判りやすく共感を持つことが出来ました。
    写真は伝えるものでは無く、見るものがそれぞれ何を感じたかが大事だと思っていますので私なりに感じることが出来て良かったと満足出来ました。

    緑の煙突はさすがにカラーにされましたね。
    変わった煙突だけ揃えてたしか一昨年だかに視点で優秀賞か奨励賞を取った作品がありました。
    m_HAL | URL | 2009.05.28 03:21 | Edit
    はせがわさま、いつもありがとうございます。
    写真のほうはいまひとつの出来で消化不良ですが、ふだん写真を撮っているとき人と話すことがほとんど無いので、どちらかというと今回は文章を書きたくてアップしました。

    山方さんの作品はホームページの「bee fly」と「over the river」しか見ていませんが(ブログは除く)、以来すっかり魅了されてしまいました。
    ある意味とても写真的というか写真の中にしか存在し得ない世界という感じがして、作者のフィルターを通さなければ見えてこない風景で、自分にはこんな風に物を見ることは決して出来ないと思ってしまいます。
    なんというか写真のなかに中心がないというか、いろんな要素が均一に関連し合っていて、メッセージとか物語性、情感といったものが排除されていることで、その物や場所の存在といったものが際立って浮かび上がってくるというのが、個人的な感想です。
    そんな写真の成り立ちが、「従来よりの写真の基本は無視」ということに繋がるのだろうかと、コメントを読んで考えました。

    気がつけば来週で展示が終わってしまうので、今週末に見に行こうかと思っています。
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    Author:m_HAL
    現代写真研究所にて写真を学ぶ。
    金瀬 胖 氏の影響を受け現在に至る。

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